日本を代表するバイオリニストの前橋汀子が24日、大阪のザ・シンフォニーホールで演奏活動55 周年を記念したコンサートを行なった。


コンサートのタイトルは「ヴァイオリン名曲選」。前橋自身が選びぬいた名曲の数々を満喫できる「ヴァイオリン名曲選」は、2002年に始められ、2005 年からはほぼ毎年開催されている。多くの人に音楽の門戸を広げたいという前橋の想いから、入場料は比較的安く設定され、プログラムはバイオリンの名曲、人気曲を中心に構成されている。今回は5曲のアンコール曲と合わせて、全 16 曲を披露した。


バイオリンの一番低い音のG線だけで弾くことから名がついたバッハの「G線上のアリア」からコンサートはスタートした。前橋の演奏するバイオリンは1736年製作のデル・ジェス・グァルネリ。特にG線の音色の美しさは際立っており、艶やかで瑞々しいと言う前橋ファンもいる。ファンの期待に応える優雅な演奏だった。


2曲目はベートーベンのバイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」。全てのバイオリン・ソナタの中の最高傑作と讃えられる名曲を松本和将のピアノとの息もぴったりに熱演した。前橋と松本は以前から共演しており、特別なアイコンタクトや合図無しでも、あうんの呼吸で曲をはじめ、自然な流れで演奏を進めていく。


白いドレスから赤いドレスに衣装替えして登場した後半は、エルガーの「愛の挨拶」、マスネの「タイスの瞑想曲」、シューベルトの「アヴェ・マリア」、クライスラーの「プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ」「中国の太鼓」、パガニーニの「ラ・カンパネラ」、ドボルザークの「わが母の教え給いし歌」「スラブ舞曲」と、前橋の歌心が発揮される名曲小品が続いた。最後はサラサーテの「チゴイネルワイゼン」。華やかな超絶技巧は圧巻だった。


アンコールは、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」、ブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」「ハンガリー舞曲第5番」、ヴィエニャフスキの「モスクワの思い出」、エディット・ピアフの「愛の讃歌」を演奏した。


もう一曲、さらにまた一曲、と続くアンコールの演奏に会場は盛り上がり、ラストの「愛の讃歌」を高らかに演奏し終えた時には、感動的な雰囲気がホールに満ちあふれていた。

 


2017年6月24日、大阪市ザ・シンフォニーホール)(城所美智子)