マエストロ、ステファヌ・ドゥネーヴの才気あふれる指揮のもと、ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団によるベートーベンの「皇帝」と「英雄」を演目としたコンサートが16日、東広島芸術文化ホールくららであった。


通訳で第2バイオリン主席奏者の萩原麻利が英語で「Good Evening」と挨拶し、続いてマエストロが日本語で「みなさん、こんばんは」と言うと、その逆転の演出に会場からは笑いが起こり、ホールは一気に和やかなムードに包まれた。


ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団は、西ヨーロッパに位置するベルギーのオーケストラで初来日。指揮のステファヌ・ドゥネーヴが音楽監督に就いている。今回の日本ツアーでは全9カ所で公演を行う。「2週間前の 2017年5月にベルギーの首都ブリュッセルで世界最高峰の音楽コンクール「エリザベート王妃国際コンクール」が行われた。ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団がファイナリストと共演したので、細川俊夫の曲を、チェロの岡本侑也と演奏したばかり(岡本は2位に入賞)。今回、日本に来ることができて光栄に思っている」と、マエストロは日本とのかかわりについて話した。


1曲目は、現代の作曲家ギョーム・コネソンの「フラメンシュリフト(炎の言葉)」。ベートーベン、ドイツ音楽へのオマージュとして作られた曲。東広島芸術文化ホールくららは2016 年に開館したばかりの新しい音楽ホールであり、海外のオーケストラが公演するのははじめて。クラシックの本場であるヨーロッパのオーケストラが奏でる重厚で美しい音楽に、聴衆は魅了された。東広島市在住の観客の一人は「地元の西条で、このようにすばらしい演奏を聴くことができるなんて、信じられない。西条にいるとは思えない」と感激していた。2曲目はベートーベンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。注目の若手女性ピアニストのモナ=飛鳥・オットが、オーケストラとの息もぴったりに美しく優雅にピアノを奏でた。ピアノのアンコールは、シューベルトの「セレナーデ」。


後半は、ベートーベンの交響曲第3番「英雄」。マエストロの迫力の指揮、ホルンやトランペットの金管楽器の華やかな音色、オーボエやクラリネットの木管楽器の美しいかけあい、弦楽器の繊細でダイナミックな流れ、それらすべてが合わさってホール全体を包み込んだ響き。観客からはブラボーと盛大な拍手がいつまでも送られた。シューベルトの「ロザムンデ序曲第3番」をアンコールに演奏し、2時間半のコンサートは幕を閉じた。終演後のサイン会では、マエストロは、握手やハイタッチを交え、観客と気さくに交流していた。


東広島市西条と言えば、日本酒の酒蔵が集積している酒都。ビールで有名なベルギーの音楽に触れ、終演後には、今日のコンサートの余韻にひたりながら、おいしい日本酒やビールを飲んだ観客も多かったに違いない。


2017年6月17日、東広島芸術文化ホールくらら大ホール)(城所美智子)