葉加瀬太郎・高嶋ちさ子・古澤巌「3大バイオリニストコンサート」が14日、広島市中区の広島文化学園HBGホールであった。人気バイオリニスト3人の演奏と絶妙なかけあいが楽しいトークが繰り広げられ、一昔前のテレビの音楽番組に出てきそうな派手な舞台セットと豪華メンバーが集まったストリングスとバンドの演奏も会場を盛り上げた。3人そろっての演奏のほか、それぞれのソロ、葉加瀬と高嶋のデュオ、葉加瀬と古澤のデュオ、ゲストで二胡奏者のウェイ・ウェイ・ウー、作曲家・プロデューサーの羽毛田丈史、とさまざまな組み合わせで、全17曲を披露した。「3大バイオリニストコンサート」は、昨年から始まり、今年は全国14公演が予定されている。広島での公演はこの日が初めて。チケットは発売日に即完売の人気で、チケットを入手できた観客は開演をいまかと心待ちにした。

 オープニングは、「SWINGIN’ VIVALDI」。バロックの名曲であるビバルディの「四季」より「春」を軽快なスイングジャズ調で葉加瀬、高嶋、古澤が華やかに演奏した。葉加瀬はシルバーグレーのスーツ、高嶋はうす紫色のドレス、古澤はトレードマークの帽子とスカーフの装いだ。
 2曲目は、アメリカのフュージョンバンド「ウェザーリポート」の1977年の作品「Birdland」を葉加瀬、高嶋、古澤が演奏した。曲の合間の語りは、3人それぞれの個性が表れていた。特に、高嶋は最初から最後まで舌鋒鋭く、葉加瀬と古澤は押されぎみという構図が観客の笑いを誘った。
 3曲目は古澤のソロで「FULLHOUSE」。曲調はディスコバージョンで、演奏の合間に古澤は「今夜は帰さないぜ」と決め台詞を言い、会場を湧かせた。
 4曲目も古澤のソロで「Mr.Lonely」。 FMラジオ「ジェット・ストリーム」のテーマ曲で、2017年4月からは、ベルリン・フィルのメンバーと古澤が共演した同曲が流れている。
 5曲目、6曲目は、高嶋のソロで「スーベニアの眠る丘」と「ニュー・シネマ・パラダイス」。白と黒のドレスで登場した高嶋は、「長男の大好きな海の殺し屋、シャチをイメージした衣装です」と言っていたが、そんな歯に衣着せぬトークとはひと味違った、しなやかな演奏を披露した。
 7曲目は、葉加瀬と高嶋のデュエットで「Someday Somehow」。TBS系テレビ「NEWS23」のエンディングテーマとして葉加瀬が作った曲だ。
 前半最後の8曲目は、3人でモンティの「チャールダーシュ」を演奏した。バイオリンのコンサートでは定番の名曲だが、3人で弾くアレンジは非常に珍しい。

 休憩をはさんで9曲目は葉加瀬と古澤の男性デュオで、「WITH ONE WISH」で演奏を再開した。
 10曲目は、3人によるオリジナルメドレー。古澤は「Fine Day!」、高嶋は「オーシャン・ブルー〜ORCA〜」、葉加瀬は「エトピリカ」を演奏した。
 11曲目はゲストで二胡奏者のウェイ・ウェイ・ウーの演奏で「レガシー」。12曲目はこのコンサートの音楽監督で作曲家・プロデューサーの羽毛田丈史が「希望〜天皇の料理番〜」を演奏した。
 13曲目は葉加瀬のソロ。列車が線路を走る音で曲が始まった。2017年6月17日に運転が開始されるJR西日本のトワイライトエクスプレス瑞風のテーマ曲「瑞風〜MIZUKAZE〜」だ。ステージは瑞風の車体のカラーである緑色で照らされ、自然の中を走り抜けていく列車の旅をイメージさせる演奏と演出だった。最後の2曲は、3人による演奏。
 14曲目にルロイ・アンダーソンの「Fiddle Faddle」、15曲目にパガニーニの「カプリス第24番」。それぞれがバイオリンの技を見せ合う要素も取り入れた演出でフィナーレを盛り上げた。

 アンコールの1曲目は、アイルランドの民謡「トス・ザ・フェザーズ」。軽快なリズムと異国情緒を感じさせる旋律を3人が熱演した。パーカッションをたたくと打面から光の粒子が湧き出てくる演出にも注目が集まった。アンコール2曲目のマスネの「タイスの瞑想曲」は、バイオリン3人で美しい旋律を奏でるアレンジが新鮮だ。ステージには星空が映し出され、曲の終わりには、一つの流れ星が消えていく様が描かれ終演となった。

 たっぷり3時間にわたり、会場の超満員の観客は、夢のようなエンターテイメントの世界を楽しんだ。


(2017年5月14日、広島市中区広島文化学園HBGホール)(城所美智子)