クリストフ・バリサの自然でありながら気品を感じさせる「語り」は、観客の心を惹き付けた。

 

フランスのアルチュール・オネゲルが作曲したオラトリオ「ダビデ王」の公演が6日、音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017」であった。

 

ダビデ王は実在する古代イスラエルの2代目の王で、旧約聖書の英雄である。その生涯を描いたオネゲルの「ダビデ王」は、3部構成で全27曲からなるオラトリオ。語り手、ソロ歌手、混成合唱、小編成のオーケストラという構成で演奏された。ナレーション、歌ともにフランス語であるため、会場には日本語字幕が映し出された。

 

日本で公演されることが少ない演目であり、この機会を楽しみにしていた多くの音楽ファンで会場は埋まった。


日本に先立ち、フランスのナントで2017年2月に行われた音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」において、語り、合唱、指揮者を同じくして同公演が行なわれており、今回、日本で再演された格好となる。


フランスと日本でこの音楽祭のアーティスティック・ディレクターを務めるルネ・マルタンは、2月に行なわれた記者会見で、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017」の特筆すべき演目として、この「ダビデ王」を挙げており、先に行われたフランスでの公演の評価が高かったことがうかがえる。

 

語り手のクリストフ・バリサが筋書きを語り、独唱、合唱が折り重なって進んでいく。


特に秀逸だったのは、クリストフ・バリサの美しい語りだ。大げさで仰々しい感じがなく、自然で美しい響きのフランス語で語りかけるようなナレーションであり、いっそう観客を惹き付けた。


ダビデ王は歴史上の人物だが、語りや歌で表現されるその心情は、現代に生きる我々にも共通するものが多くあった。

 

ダビデ王が死を迎え、天使のハレルヤでオラトリオが終わると、会場は興奮に包まれ、何度もカーテンコールが行われた後に、すべての出演者がステージから退場してもなお観客の拍手は鳴り止まず、最後には指揮のダニエル・ロイス一人が登場し、大喝采を浴びて公演は終了した。

 

出演者

クリストフ・バリサ:語り

ロランス・アミー:巫女

リュシー・シャルダン:ソプラノ

マリアンヌ・ベアーテ・キーランド:メゾ・ソプラノ

エンドリク・ウクスバラク:テノール

ローザンヌ声楽アンサンブル:混成合唱

シンフォニア・ヴァルソヴィアのメンバー:オーケストラ

ダニエル・ロイス:指揮

 

20175 6日、東京国際フォーラム、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017)(城所美智子)