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 北極圏にあるノルウェーの都市ロングイエールビーンは、スヴァールバル諸島に位置し、100年前から石炭採取が経済を支えている。マニュエル・デイラー監督の『ロングイェールビーン 極北の街(仮題)』は、地政学的に環境保護が運命付けられている北極圏にありながら、石炭採取を行うことがエネルギーと経済の源になっているという背反する二つの現実が、いくつもの環境的な矛盾を引き起こしていることを追っていくドキュメンタリーである。

 冒頭、ロングイェールビーンの概要が手際よく説明されていく。北欧諸国の小都市というと、環境規制が厳しいのではないか、というイメージを抱きがちだ。だが、人口が少なく、農業にも適していない場所で人々が暮らしていくためには何らかの産業が必要となる。だが、この街のように、石炭採取で産業を維持しようとすれば当然、環境破壊が避けられない。

 この作品では、そうした矛盾について、関係者へのインタビューをつなぎながら、問題提起していく。小さな街を舞台にした映画だが、環境保護と産業の両立という構造的な矛盾はどこの国、地域でも起こりうる普遍的なテーマでもある。

 マニュエル・デイラー監督は、2011年に制作会社を設立し、文化を専門として映像制作を行っている。本作は2016年に完成させた2作目の長編ドキュメンタリーで、3月3日から5日まで日比谷図書文化館で開催される「第4回グリーンイメージ国際環境映像際」で上映される。


(2017年2月20日午後1時30分、日比谷図書文化館)(矢澤利弘)

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