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(C)2010『桜田門外ノ変』製作委員会

2010年10月27日午後1時から文化庁主催のシンポジウム「映画の発信力を考える」が六本木ヒルズ49階で開かれた。第一部の「映画『桜田門外ノ変』から生まれた映画づくり・ひとづくり・まちづくり」では、映画監督の佐藤純彌氏と茨城県知事公室広報広聴課広報戦略室室長補佐の橘川栄作氏がゲストとして登壇した。

橘川氏は「映画は地域がまとまる。そして映画は発信力がある」と述べ、映画づくりによる地域活性化の事例を紹介した。

茨城県による映画づくりに当たっては、地域活性化を目的として、観光振興につなげるために、茨城県内に関連する観光スポットの多い、「桜田門外の変」を題材に選んだ。

2500万円の補助金を得て、2008年に映画化支援の会を2,3人ではじめたが、後に拡大していく。観光振興という点から言えば、映画のロケセットには実際に16万人が訪れた。

映画は人々に見てもらえなければ意味がない。そのため、映画の公開という出口がないと今後につながっていかないと考え、全国公開のための受け皿づくりを重視し、映画は296スクリーンで公開することができた。

地域発の映画戦略としては、そもそも映画がいいものでなければならない。

今回の映画製作に当たっては、まず準備会を立ち上げ、何度も会合を開いてプランを練り上げた。まちづくりに興味のある人や映画好き、地域でのリーダーとして活躍している人たちにメンバーになってもらい、定例で会議を開いた。ネタがあろうとなかろうと定期的な会議を1年以上続けた。

「桜田門外ノ変」という企画が固まり、その時点ではじめて資金集めを開始し、東映とも接触した。映画製作協力券を5万枚(1億円相当)販売することができた。

だが、クランクインのほぼ1カ月前に3人のプロデューサーのうち、2人がやめてしまった。その時点で製作費がたった500万円しか集まっていなかったのだ。

だが、関係した人々が出資組合を作ってくれ、1月から3月までの3カ月で4億円が集まった。6人の個人による資金であり、なかには「お金は返ってこなくてもいいよ」という出資者もいた。

橘川氏は地域発の映画づくりについて、1)映画を作るための大義があること。2)出資という形ではなく、例えば、協賛金をいただいて広告をさせてもらうといったような、お金を出しっ放しでよいための仕組みづくり。3)キーパーソンのパワー。の3つが大切だと説く。

2008年8月に映画化支援の会が発足。11月に監督が決まった。佐藤監督は「映画づくりには資金が必要だが、地域発の場合、茨城の人たちが信頼できる形で資金を提示してくれたので安心だった」と語る。

地域映画というとどうしてもローカル色の強いものを連想しがちだが、映画の企画としては、地域発でありながら、全国的なものでなければならない。地域の人が喜ぶと、逆に他の地域の人々は見ないことになりがちだ。

資金集めが難航したこともあり、何度かこの映画の製作は流れるかもしれないと思ったことがあるという佐藤監督。「絶対に作るという信念を持つもの狂いが核にいると強い」と話す。『新幹線大爆破』や『敦煌』、『男たちのYAMATO』といったヒット作を監督し、長いキャリアを持つ佐藤監督だが、「こんなに地域の人が協力してくれた映画はなかった」と打ち明ける。

地域映画で地域活性化を目指すためには、まず映画ありきでなければならない。映画自体がいいものでなければならないのだ。